読み物

中村江里子さん

好きなものがあれば、
使い方は自分次第。
楽しみ方は人それぞれ
です。

中村江里子さん
(フリーアナウンサー)

1969年東京生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にシャルル・エドワード・バルト氏(化粧品会社経営)と結婚し、生活の拠点をパリに移す。現在は14歳、11歳、8歳の3人の子供の母親でもある。パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆などで幅広く活躍中。年2回発行のパーソナルマガジン『セゾン・ド・エリコ』(扶桑社)他著書多数。

江里子さんはパリに住まれていますが、パリでも日本茶は飲まれていますか?

フランスでは日本茶のことをテ・ジャポネと言って、煎茶がとても人気があります。カフェで出しているところもありますし、健康にも良いということで皆飲んでいます。私がパリに住み始めた頃は、レストランでもお茶がティーパックだったり、淹れ方にはそんなにこだわっていないように感じましたが、最近ではポットを使う人も増えてきたのではないでしょうか。私の義母も紅茶を鉄瓶に入れて飲んでいます。
抹茶をいただくことは一般的ではありませんが、日本食レストランが増えていたりと、和食に対しての興味は高まっています。抹茶を使ったお菓子も人気がありますし、日本のお茶を楽しむことが増えてきているように感じます。

ご自身のお茶の楽しみ方を教えてください。

私も家族も日本茶が好きでよく家で飲んでいます。自宅では麦茶を常に用意してあります。特に次女は大好きで、私が日本茶を飲んでいると必ず飲みに来ますね。 その時使う器はマグカップだったり、合わせるお菓子はショコラだったり、自由に組み合わせを楽しんでいます。お客様にディナーの最後に日本茶とお菓子をお出しすることもよくあります。日本のお干菓子は綺麗なので、皆さん喜んでくださいますね。
茶道は母が好きだったこともあり、パリから日本に戻ってきている間だけお稽古に通っていたこともありました。出産などで時間の余裕がなくなってしまい離れてしまったのですが。
少し前に木村宗慎さんにお会いした時に、イギリスでみつけられたというお道具を使っていらして、その取り合わせがすごく素敵でした。道具は、お茶用のものでなくても、自由に楽しめば良い、というお話をお伺いして、基本は楽しく気持ちよくいただくということに通じるのだなと思いました。
「場所を用意して」「道具を揃えて」「お着物も着なくては」と考えると始めるのが大変ですが、何も全て決められたものではなく、今持っているものでもいいんだと考えると始めやすいですよね。

茶道をより楽しむにはどうしたらよいでしょう?

先ほど、ルールにしばられずというお話をしましたが、茶道の所作には一つ一つ意味があると思うので、それらを省いて楽しむというのは、なかなか難しいかもしれません。それよりも、丁寧な動作でお茶を点てることで、心を静める時間を持つ、と考えるのが良いのではないでしょうか。現代の人は仕事や子育てで忙しいと思うのですが、忙しい毎日の中で10分でも無理やりそういう時間をとって落ち着く時間をとることがとても良いことだと思います。 初めは時間がないと思っていても、何日間かやると苦にならなくなり、習慣になりますよね。抹茶はお茶を点てるときにゆったりとした時間が流れるので、いただくときも時間をかけたくなります。時間は比例すると思うんです。そうやって、ゆっくりとお茶をいただき、心が無になる時間をとることで、一日が大きく変わるんじゃないでしょうか。
最近、書道をはじめたいと思っているのですが、墨を磨るという動作が好きなんですね。磨っているときに墨の香りが上がってきて、心が落ち着く。茶道もそういうことではないでしょうか。

お気に入りの道具について教えてください。


中川政七商店の「お茶ごっこ」
『セゾン・ド・エリコ』でずっとご一緒している編集者の方がプレゼントしてくださった中川政七商店の「お茶ごっこ」です。 常々、「ゆとりのある時間を持ちたい」ということを言っていたら、その方が「これが江里子さんにぴったりなのでは?」と言ってくださったのがとても嬉しかったんです。形も可愛らしくて、自宅の食器棚にぽこんと並んでいます。フランスではそこらじゅうでピクニックをしているので、外に持って行って楽しんでも良いですね。

茶器や食器を選ぶ基準はありますか?

TPOに合わせて食器を選べたら素敵だとは思うのですが、食器棚には限りがありますよね。フランスに来た時に抹茶茶碗を購入したのですが、その茶碗で抹茶だけではなく、珈琲やご飯をいただいたりもします。器は、しまわれているよりも日々使われたほうが良いと思うので。
日本では、和食器があるのが当たり前。お茶は湯呑で飲むもので、和菓子を合わせるということが多いかもしれません。フランスではそれはなかなか手に入りづらいし、あるものでなんとかしていこうと思った時に、「こうでなくてはいけない」というルールが取っ払われました。例えば、漆の器にパンを載せてみたり。もともと、自分の好きなものがはっきりしていて自由に楽しんでいたのですが、フランスに来てからより強く「楽しみ方は人それぞれ」と思うようになりました。垣根が取れた感じです。誰も何も言わないし、みんな自然に受け入れてくれる。選ぶ基準は「自分が使いたいかどうか」だけです。毎日使うものほど、本当に使いたいものが身近にあると嬉しい。高価かどうかは大切ではなくて、自分にとってときめくものを選びます。

江里子さんのモノを選ぶ美意識はどこで培われたのでしょうか?

幼い頃からものが好きでした。好きなものがはっきりしていたんですよね。
日本では流行りが重視される傾向があるけれど、パリには、流行りではなく自分の好きなものを選び、古いものでも修理して使い続けるという文化があります。最近でも、大切にしていた白磁のカップが欠けてしまい、金つぎをしてもらったんです。まだ受け取っていないのですが、戻ってくるのが楽しみ。欠けたままでも良いのですが、白に金がはいったらすごくきれいだと思って。そのカップでポタージュを飲んでも良いかな、と思っています。使い方は自分次第だと思います。洋服に関しても同じです。トレンドのものも良いとは思いますが、自分にとって着心地が良くなければ着ないし、20年前の物でも好きなものであれば着ます。

おもてなしで大切にしていることを教えてください。

なにより「ここにいて居心地が良い」と感じてほしいですね。仲間内のホームパーティもありますが、はじめましての方もいらっしゃる時、皆の話が弾むようにもっていくのがホストの役割だと思います。そんな時に、ちょっと変わった器やグラスがあると、話を弾ませるきっかけになってくれたりもします。小さな和食器など初めて見る方もいて、重要な小物になってくれるんですよ。

お茶会を開くとしたら、どんな形でやりたいですか?

私が点てて皆様にお出しするのではなく、一緒に楽しめるようにお友達にお茶を点ててもらう会をやりたいですね。デザートタイムにテーブルを皆で囲んでお茶を点てていただく。お道具も、抹茶茶碗やカフェオレボールなど用意して、器を選ぶことも楽しんでほしいです。

編集後記

「好きなものがあれば、使い方は自分次第」という言葉が印象的でした。茶道を始めたいと思っていても道具を一から集めるのは大変そうと思われる方も多いと思いますが、持っている道具を使ってお茶を点てることもできます。是非自分のお気に入りの道具を使ってお茶を点ててみてください。

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